『耐震基準適合証明』の詳細について

目次

1.耐震基準適合証明書とは

耐震基準適合証明書とは、建物が現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類です。発行は建築士事務所登録のある建築士事務所に所属する建築士、又は指定性能評価機関などが行います。

まずは耐震診断を行い、耐震基準を満たしているか確認します。その結果、耐震性を満たしている住宅(上部構造評点1.0以上)であれば証明書が発行できます。(耐震性を満たしていない住宅は耐震改修工事が必要です)

2.耐震改修工事の費用は平均約120万円

平成27年2月発表の日本木造住宅耐震補強事業者協同組合のデータによると、耐震改修工事の施工金額中央値は120万円となっています。また、耐震改修工事はその他リフォーム工事と同時に行うと費用を安く抑えることができます。

築20年を超える一戸建て住宅は住宅ローン減税(控除)を受けることができませんが、耐震基準適合証明書の発行で、住宅ローン減税(控除)を受けることができるようになります。

100万円前後の工事費をかけて、200万円戻ってきて、家族が安心に住むことができる住宅になる、実施しない手はありません。

3.築後年数要件を緩和する3つの方法

不動産売買契約前の確認が必要です。

住宅ローン減税制度は家計に与える影響が大きい制度ですので、不動産売買契約前に制度利用のためにやらなければならないことや費用、手続きなどをご確認いただくことをお勧めします。

3-①.【方法1】引渡し前に耐震基準適合証明書を取得する

物件の引渡し(所有権移転)前までに耐震診断や必要に応じて改修工事を実施して売主が申請者となる耐震基準適合証明書を取得する方法です。

※引渡し前の耐震基準適合証明書の注意点※

  1. 所有権移転前に耐震診断を実施することについて売主の許可が必要です。許可が得られない場合は【方法2】もしくは【方法3】となります。
  2. 耐震診断の結果、現行の基準に満たないと判断された場合は改修工事が必要で、所有権移転前に改修工事を実施することについて売主の許可が必要です。

3-②.【方法2】引渡し前に既存住宅売買かし保険を付保する

引渡し前に瑕疵(かし)保険の現況検査を実施し、既存住宅売買かし保険の付保証明書を取得する方法です。耐震診断が現実的でない木造住宅以外の建物で有効な手段です。

※引渡し前の既存住宅売買かし保険の注意点※

  1. 所有権移転前にかし保険の現況検査を実施することについて売主の許可が必要です。
  2. 現況検査の結果、劣化事象が指摘された場合は改修工事が必要で、所有権移転前に改修工事を実施することについて売主の許可が必要です。
  3. 売主が宅建事業者の場合、売主に既存住宅売買かし保険の手続きをお願いする必要があります。

3-③.【方法3】引渡し後に耐震改修工事を実施し耐震基準適合証明書を取得する

売主の協力が得られない場合は、引渡し前に申請書のみを取得して、耐震診断や改修工事は引渡し後に実施する方法があります。

※引渡し後の耐震基準適合証明書の注意点※

  1. 耐震改修工事の実施が要件です。引渡し後の耐震診断の結果、現行基準を満たすことが判明した場合は制度対象外となります。
  2. 所有権移転後、居住開始までに改修工事を実施して証明書を取得する必要があります。不動産の取引では「新住所登記」といって、所有権移転前に新住所へ住民票を移して住所移転登記を省略する方法が取られますが、【方法3】を利用する場合は「新住所登記」を行うと制度対象外となります。
  3. 登録免許税は対象外となります。
  4. 不動産取得税の軽減は家屋のみが対象で、土地は対象外となります。

平成26年度から【方法3】が追加になりました。取引の進め方を誤ると住宅ローン減税の対象外になる恐れがありますので早めにご相談ください。

4.証明書の発行でさらにこんなにお得!

  1. 住宅ローン減税が適用されます
  2. 登録免許税が減額されます (建物所有権移転:2.0%→0.3% 抵当権設定:0.4%→0.1%)
    登録免許税の軽減を受けようとする場合は、所有権移転登記前に市区町村より住宅家屋証明書を取得しておく必要があります。ただし、築20年以上の戸建てについて住宅家屋証明書の取得を申請する際には、市区町村窓口に耐震基準適合証明書を提出する必要がありますので、決済日に先立ち、予め耐震基準適合証明書を取得しておく必要があります。
  3. 不動産取得税が減額されます (土地:45,000円以上軽減 建物:築年数によって変動します)
    不動産取得税については、昭和57年1月1日以降の築であれば耐震基準適合証明書は不要です。45,000円又は、敷地1m 当たりの価格 (平成21年3月31日までに取得された場合に限り、1m 当たりの価格の2分の1に相当する額)×住宅の床面積の2倍(1戸につき200m を限度)×3%。
  4. 家屋の固定資産税が1年間1/2になります (耐震改修促進税制)※耐震改修工事を行った場合のみ
    固定資産税の減額は適用要件があります。「昭和57年1月1日以前から所在する住宅であること」「耐震改修費用が50万円超であること」など
  5. 地震保険の耐震診断割引(地震保険料10%割引)
    地震保険にはいくつかの割引制度がございますが他の割引制度との併用はできません。また主に新築を対象とした「耐震等級割引」とこの「耐震診断割引」は別のものですのでご注意ください。このような重要な情報を当社はしっかりお客様にお伝えいたします。

5.引き渡しまでの間に「耐震基準適合証明書の仮申請」が必要 耐震基準適合証明書の発行手順

住宅の引き渡しを受けてから、自ら耐震改修をして耐震基準適合証明書を取得する以下の流れが一般的です。この場合、改修工事などは引き渡し後に実施するのですが、引き渡しまでの間に「耐震基準適合証明書の仮申請」をしておく必要があります。

6.実際の入居まで住民票を移転させないでください。

もう一つ重要な要件として引き渡しから入居までの期間が6か月以内であること、という条件が加わります。引き渡しから入居までの期間が6か月以内であることを住民票を以て証明する必要があるので、実際の入居まで住民票の移転は控えてください。

まれに、金融機関から「登記は新住所登記でお願いします」と言われることがありますが、事情を説明し、引き渡し時点では旧住所登記で進めてください。

税務署によっては、入居の証明を「ガスの開栓記録」や「電気の使用記録」等でも良い場合があるようですが、必ず事前に最寄りの税務署に相談してください。

7.リニュアル仲介の耐震基準適合証明書発行サービス

リニュアル仲介では耐震基準適合証明書のための耐震診断や証明書発行などを承っております。住宅ローン減税(控除)ご利用目的の耐震基準適合証明書発行は、スケジュール管理がとても大切になってきます。中古住宅購入をご検討の方は、お早めにご相談頂く事を強くお勧めしております。

  1.  中古住宅でも耐震基準適合証明書、既存住宅売買かし保険が付保できるようにご提案いたします
  2. 耐震基準適合証明書に関しては診断・工事・証明書発行のみのご相談も可能
  3. 診断の結果、基準を満たさない場合は、必要な改修工事をご提案いたします

8.リニュアル仲介のワンストップ検査・証明サービス

リニュアル仲介では耐震基準適合証明書のための耐震診断や証明書発行を始め、各種証明書発行業務をワンストップで承ります。ワンストップで実施することで、以下の内容を実現しました。

・一度の調査で数種類の調査を実施するので「調査コストの大幅削減」
・一人の建築士が全てを担うので「手続き期間の短縮が可能」
・是正ポイントが同じであれば「是正工事のコスト大幅削減が可能」

【 耐  震 】耐震診断・是正プラン立案・是正工事見積もり・耐震基準適合証明書発行
【 かし保険 】現況検査・是正プラン立案・是正工事見積もり・かし保険の付帯
【フラット35】適合検査・是正プラン立案・是正工事見積もり・フラット35適合証明書発行

9.耐震基準適合証明書発行サービスの流れ

質問16.ハウスメーカの特殊工法は耐震基準適合証明書の発行は可能か?
回答
可能な場合があります。特殊工法の場合、建築したメーカーに問い合わせて、その会社で耐震診断・改修設計・耐震改修工事を実施してもらう必要があります。特殊工法の中古住宅購入の際は、購入前にメーカーに問い合わせし、証明書の発行の可否について把握しておくことをお勧めいたします。

質問17.設計図書だけで耐震基準適合証明書の発行は可能か?
回答
設計図書だけで耐震基準適合証明書の発行はできません。現地調査を必ず実施いたします。

質問18.設計図書が残っていなくても耐震基準適合証明書の発行は可能か?
回答
可能です。現地調査で詳細なデータは取得するのですが、設計図書があった方がより正確に調査が可能です。

質問19.耐震診断の現地調査はどれくらい時間がかかるか?
回答
約2~3時間かかります。設計図書が無い場合はさらに必要な場合があります。中古住宅流通時において実施される耐震診断の場合、購入意思決定の為に耐震改修のコストを事前に把握しておく必要があります。その場合、多くは全所有者が居住中に耐震診断を実施することになり、売主および売主の仲介会社の理解が必要となります。当社では、その様な手配もしっかり担当させていただきます。

質問20.耐震診断には、どのような設計図書が必要か?
回答
筋交いの位置や方向・サイズが記載されている「平面図」が最も重要です。また、体力壁の力を受ける役割をする基礎の配置がわかる「基礎伏図」も重要です。また、仕上げ表または仕様書(屋根・外壁などの素材がわかるもの)もあると助かります。平面図は不動産購入時によく目にするいわゆる「販売図面」とは異なるものです。

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