※マンションの場合、建物の構造検査は共用部分の問題の為、実施致しません。室内の設備の故障などの点検、管理費の滞納、修繕積立金の妥当性など、マンションの管理状況について調査・報告致します。
1.インスペクション(建物状況調査)とは?
中古住宅を検討する買主様は、『欠陥はないのか』『設備に不具合はないのか』等、何かしら建物に対する『不安』を抱えています。そういった買主様の『不安』を解消する一つの方法が『インスペクション(建物状況調査)』です。
また、中古住宅取引の際、瑕疵(かし)保険を付保して消費者を保護しようという動きがあるため、『瑕疵(かし)保険』をかけるためのインスペクション(建物状況調査)と言っても良いと思います。
住宅診断士が専門家の立場から、目視・触診により、住宅の欠陥の有無や、基礎・外壁のヒビ割れなどを診断します。調査結果から物件の改修箇所や時期を助言することで、物件の現状を把握し、不透明性を解消できます。
目視・触診による調査費用は、建物の大きさによっても異なりますが、7万円前後くらいが一般的です。
高いと感じる方もいると思いますが、『安心』の付加価値が加わるという意味では安いものなのかもしれません。
取引前にインスペクション(建物状況調査)の実施を行い、物件の状況を把握することで、売買金額の目安や修繕・補修の箇所、修繕や補修にかかる概算費用などを事前に確認することができるため、買主様は『安心』と『納得』のできる中古住宅の取引が実現できます。
2.宅建法改正!インスペクション(建物状況調査)の意向確認を義務化!!
2016年2月26日、日本政府は宅建業法の改正を閣議決定しました。ホームインスペクション(建物状況調査)の実施自体が義務化と認識しいる方もいますが、そうではなく、あくまでホームインスペクション(建物状況調査)を行うか否かの確認を宅建業者に義務付けるというものです。
一戸建てを持ちたい大半の方は、新築を理想に考える方が多いと思いますが、インスペクション(建物状況調査)を実施することで中古住宅でも『安心』と『納得』のいく取引ができるアメリカやイギリス、フランスなどの先進国では、中古住宅を選択する方が圧倒的に多い実態です。
このように、インスペクション(建物状況調査)の実施することで不動産の質を把握しづらい売主・買主の『不安』が払拭できれば、日本でも中古住宅の流通は活性化することでしょう。
また、中古住宅の流通促進をねらう日本政府は、重要な政策課題に掲げ、補助金や減税などの優遇措置を整えています。
下記に宅建業法改正の記事を添付させていただきます。
中古住宅診断の意向確認を義務化 改正宅建業法案を閣議決定(日本経済新聞)
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H40_W6A220C1PP8000/)
3.既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた『国土交通省』の取り組み
住宅・リフォーム市場の活性化を目指す日本政府は、『既存住宅インスペクション・ガイドライン』を策定・公表しています。
インスペクション(建物状況調査)を行う技術者の技術力や検査基準に差異があるため、ガイドラインを策定することで事業者による適正な業務を実施し、既存住宅インスペクションに対する売主・買主の信頼の確保と円滑な普及を図ることを目的としています。
中古住宅は新築時の品質や性能の違いに加え、その後の維持管理や経年劣化の状況により物件ごとの品質等に差があることから、売主・買主はその品質や性能に不安を感じています。
政府は『インスペクション・ガイドライン』にはじめ、『検査と保証がセットになった既存住宅・リフォーム用の保険制度の整備』、『住宅リフォームの推進のための税制措置』、『中古住宅に係る建物評価の改善に向けた指針』など、多くの取り組みを実施しております。
4.『住宅ローン減税』対象かを確認
インスペクション(建物状況調査)により、ある程度の建物の状況を把握することで、住宅ローン減税の対象であるかを確認することができます。
住宅ローンを受けることができる要件を下記に書かせていただきますが、築年数の要件が満たない場合でも、住宅ローンを受ける方法(耐震基準適合証明書の取得、既存住宅売買かし保険への付保)があります。この詳細については『住宅ローン減税の詳細について』で説明させていただきます。
沖縄
■要件■
- 床面積が50㎡以上
- 築25年以内の耐火建築物(鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの住宅)
- 築20年以内の非耐火建築物(木造、軽量鉄骨造などの住宅)
簡易的に住宅ローン減税の対象かを確認する方法もあります。弊社が加盟しているリニュアル仲介の『住宅ローン減税チェッカー』です。興味がある方はチェックしてみて下さい。→クリック
5.インスペクション(建物状況調査)を行う人はどんな人!?
ホームインスペクションは人様の資産を調査し、評価の材料になるため、とても重要な位置づけにあります。この調査を行う人は『ホームインスペクター』と呼ばれ、いくつかの民間団体が講習や試験などを実施しています。
資格にはいくつかの種類があり、よく知られているものとしては『JSHI公認インスペクター(住宅診断士)』『既存住宅インスペクター』『住宅メンテナンス診断士』などがありますが、国家資格ではないため合格基準は様々です。
建物や配管、躯体、建築など、全てに関して詳しい方は少なく、少々の勉強をした程度のホームインスペクターには注意が必要です。このような現状があるため、国土交通省は平成29年2月3日、既存住宅状況調査技術者講習制度の創設に向け、「既存住宅状況調査技術者講習登録規程」と「既存住宅状況調査方法基準」を公布・施行しました。
宅地建物取引業法の改正(2018年4月1日施行予定)で、建物状況調査(インスペクション)が法的に位置づけられることに合わせて、実際に建物状況調査(インスペクション)を行うための技術者養成を想定した制度であり、講習は2017年春以降に実施を予定しているようです。
今回の発表により、既存住宅状況調査技術者講習を新たに受講し、考査試験に合格しなければ建物状況調査(インスペクション)の担い手にはなれないようです。
この講習によって、既存住宅の調査の担い手となる技術者の育成を進めることにより、宅地建物取引業法の改正による建物状況調査(インスペクション)の活用促進や既存住宅売買瑕疵保険の活用等とあわせて、売主・買主が安心して取引できる市場環境の整備を目指すようです。
6.インスペクションの『調査項目』
RCと木造住宅の調査項目
※検査機関により、項目が異なる場合があります。インスペクション(建物状況調査)を実施する機関にご確認ください。