『定期借家契約』という言葉を始めて聞く賃貸オーナー様も多いと思います。
最近では、弊社(スマイル商事)が事務所を構える沖縄県のポータルサイト(Goohome や うちなーらいふなど)でも、少しずつ『定期借家』と記載された募集を見かけるようになりました。
『定期借家契約』は、平成12年3月1日から我が国で施行されている借家権であり、『良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法』に基づき改正された内容になっています。
この記事では、『定期借家契約』について、書かせて頂きます。
1.『定期借家』のこと、皆、知ってるの?!
下記、国土交通省が調査したデータをご覧ください。
『定期借家契約』を知っている人が11.2%、名前だけを知っている人が30.7%、知らないと答えた人が57.5%となっており、半数以上の方は知らないと答えています。
次に、全国で定期借家制度を利用されている割合は何割程度あるでしょうか。これも国土交通省のデータより説明させて頂きます。
全国的に『普通借家契約』は95.8%、『定期借家契約』がわずか3.2%であるという結果が出ています。
上記のデータ結果から、『知っている人も少なく、利用している人も少ない『定期借家制度』は、いい制度なのか!? いい制度であればなぜ普及しないのか!? 』 と純粋に疑問に思った方もいるでしょう。
ここからは『定期借家』と『普通借家』の違い、メリット・デメリット、なぜ『定期借家』を活用しない方がいるのかを、書かせて頂きます。
2.『定期借家契約』とは・・・『普通借家契約』との違い
2-1.『定期借家契約』とは・・・
定期借家契約は、平成12年3月1日からわが国において施行された借家権
まずは、『定期借家契約』と『普通借家契約』の比較表をご覧ください。
普通借家契約 定期借家契約 1.契約方法 書面でも口頭でも可 ①書面(公正証書等)による契約に限られます。 ②『更新がなく、期間の満了により終了する』ことを契約書とは別に、予め書面を交付して説明しなければならない。
2.更新の有無 原則として『正当な事由』がない限り更新されます。 期間満了により終了し、更新がない(ただし、再契約は可能) 3.契約期間の上限 平成12年3月1日より前の契約・・・20年 平成12年3月1意向の契約・・・無制限
無制限 4.一年未満の契約 期間の定めがない契約とみなされる。 1年未満の契約も有効 5.賃料の増減 特約に関わらず、当事者は、賃借料の増減を請求できる。 賃借料の増減は特約の定めに従う。 6.借主からの中途解約 中途解約に関する特約があれば、その定めに従う。 ①床面積200㎡未満の住居用建物で、やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難になった借主からは、特約がなくても法律により中途解約ができる。 ②①以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う。
参考:国土交通省、定期借家制度の概要より(http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/teishaku/tei01.htm)
上記の比較表は国土交通省のホームページより引用させて頂きました。
何となく、『定期借家契約』の内容を把握できたとは思いますが、特に重要であろう項目を抜粋し、もう少し詳しく説明させていただきます。
2-2.なぜ、『定期借家契約』を活用しない方がいるのか
一般的な『普通借家契約』では、借主の保護の観点により、契約期間が満了しても自動更新されます。賃貸オーナー様が賃貸契約を終了したい場合でも、簡単に終了することができず、『正当事由』が必要とされています。
一方、『定期借家契約』は、契約の際に『更新がなく、期間の満了により終了する』ことを契約書とは別で交付・説明をすることにより、期間満了により賃貸契約を終了し、更新ありません。
しかし、契約終了後、お互い(貸主・借主)が合意すれば『再契約』が可能になっています。
『定期借家契約』の場合、この『再契約』をするか否かを『期間が満了する1年前から6ヶ月前までの間』に通知しなければなりません。
『定期借家契約』の場合、下記の①〜④を管理会社が借主とやり取りします。
①.期間が満了する1年前から6ヶ月前までの間に、契約が終了する旨の通知
②借主の家族構成や連絡先、職業、連帯保証人の連絡先などに変更がないかの確認
③.借主と改めて契約を結ぶための段取りと契約書の作成
④.期間満了前に、借主に来店して頂いての契約
上記の①〜④の手間がかかるため、賃貸オーナー様がご自身で物件の契約から管理まで行う場合は、ほとんどのオーナー様が『普通借家契約』ではないでしょうか。
また、弊社(スマイル商事)が事務所を構える沖縄県浦添市でも『定期借家契約』を採用していない同業者も多く存在します。確かに、管理物件の全ての借主に対し、上記の①~④の作業をすることは労力を費やすため、管理する側としては大変な作業になります。